2021年6月28日の連合徳島地方員会で会長に就任しました大谷 竹人(おおたに たけひと)と申します。会長就任にあたり私の問題意識を挙げながらご挨拶申し上げます。
さて、日本の労働基準法第1条1項には「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」とあります。また2項には「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」ともあります。このように労働基準法で定められているものは「最低限」の基準であり、それを下回った条件で雇用主(以下、使用者)と労働者が(労働)契約しても無効になるのです。しかしながら現実(社会)はどうでしょうか?「ブラック企業」と呼ばれる会社に雇用された労働者は「長時間労働」や「サービス残業」が当たり前といった実態を聞きます。使用者が労働者を所定の労働時間を超えて労働させた場合には時間外勤務手当を支払うことは当然、労働基準法に定められています。労働基準法違反に対しては労働基準監督署等が対応しますが、まずは職労使で労働基準法違反をさせない取り組みが必要です。
労働基準法第2条には「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」とあります。しかし、雇う側(使用者)と雇われる側(労働者)との関係で「対等な立場」で労働条件を決定できるものでしょうか?やはり労働組合を作って、まさに「労使対等」の立場を確立して労働条件を決定するしかないと私は考えるのです。
憲法第28条では、労働者の団結権等が保障されていますが、これを受けて制定された労働組合法の第1条には「この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。」とあります。また労働組合の存在意義を担保する意味でも労働組合法第7条に不当労働行為(の禁止)が定められています。具体例として以下のケースが該当します。
(1)労働組合の組合員であること、労働組合に加入しようとしたことなどを理由として解雇すること
(2)労働者が労働組合に加入しないことまたは脱退することを雇用条件とすること〈黄犬(こうけん)契約〉
(3)使用者が正当な理由なく労働者の代表者と団体交渉することを拒むこと
などが挙げられます。
つまり、上記(3)にあるように労働組合には「団体交渉権」が「保障」されており、職場での様々な問題(賃金・労働条件等)を使用者側と交渉することが出来ます。そして労使(交渉)で確認された内容は「労働協約」を結びます。わかりやすく言うと、一般企業において、使用者と労働者が守るべき基準としての「就業規則」に対して、労働組合は「労働協約」を締結することによって、「就業規則」の内容とは違った労働条件を決めることができます。ただし、これはあくまでも「労働基準法」が決めた範囲内でのことです。この関係の具体的な例として、1日の就業時間について一般企業【A社】とA社内の労働組合を【B】とします。「労働基準法」では、一般企業の1日の就業時間を8時間以内と決めていますが、A社の「就業規則」では、7時間45分と決めていたとします。この基準に対して、使用者と労働組合Bが、1日の就業時間を7時間30分と決めれば、労働組合Bに加入している労働者は、その「労働協約」の規定が「就業規則」より優先されます。「労働協約」で、1日の就業時間を8時間と決めれば、これも「就業規則」より優先されます。ただし、「労働協約」で、8時間を超える時間を決めることはできません(「労働基準法」違反となるからです)。この例から、規定が重複した場合の優先順位は、高い順に「労働基準法」>「労働協約」>「就業規則」と言えます。
以上のような労働組合と使用者との関係を「集団的労使関係」と言います。働く人(労働者)を守るためには、労働組合を結成して(既に労働組合がある職場では労働組合に加入して)「集団的労使関係」の中で労働組合として(使用者に対して)しっかり要求して交渉して、確認した内容を労働協約として締結して労使双方がしっかり守る職場を拡大していくことが必要だと強く感じます。
これから連合徳島会長として「集団的労使関係」の拡大を目指して取り組んで参ります。
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